〜第百十二話〜



「師弟邂逅」




成長……しましたね

#柳生 連










――前日 ロザンビュウム議事堂――



 ぴん、と空気が張りつめたのを北川は感じた。

 議会場は擂鉢すりばちを半分に切り取ったような形をしている。立体的な扇形である。


 扇の要の部分には議長席がある。その背後――カーテン裏に国王が座る御席がある。


 北川とレティシアは御席の後に控えていた。


 薄カーテンの向こうにはベナリア王国を支える貴族たちが爵位に合わせた階席に座っている。


 先ほどまでざわついていた議場がしんと水を打ったように静まり返った。


 この空気の感触は闘いを行う前の緊張感に似ていると北川は思った。


 お互いの力量を測り、己の技をいかにして繰り出すか、相手の攻撃をいかに避けるか。


 ――同じだ。こいつらは今戦いのことを考えている。


 ガロウフィールドが言った『戦い』の意味が少し解った。


 だが、北川がガロウフィールドが言った真意を知るのはまだこれからである。


 議長が議会の開始を宣言した。始りは静かだった。


 まず最初に議題に上がったのがワイナ皇国との国境警備についてだった。


 ワイナ皇国とベナリア王国はエローナ大陸の東西を二分する国家である。


 東のワイナ、西のベナリアと近年では呼ばれている。

 国境警備の要は海上の防衛力だ。両国の間にはレコン海と呼ばれる大河、、が横たわっている。


 平均的な川幅は約15km。流れは穏やかでほとんど静止した水のように見える。

 昔の人間が海と勘違いしレコンと名付けてしまったのは仕方のないことだろう。


 このレコン海が北部の国境となっている。


 残念ながらレコン海は真っ直ぐ南北に伸びているわけではなく、


 西南西に伸びているため、ベナリア王国の国土を両断している。


 そのため、ベナリア王国はレコン海より北を海北の地ノース・ランド、


 それより南を海南の地サウス・ランドと呼んぶこともある。


 軍事予算が公爵席にいる貴族によって示された。


 貴族の手元にある書類が、【鏡】によって空中に投影され、巨大な像を結んだ。


 議会場にいる全員が書類を一度に見ることができる青魔法の仕組みだ。


 あまりに現実味のない数字だったので北川はぴんとこなかった。


 横にいるレティシアが北川に囁いた。


「ここにいる全員を暗殺してもまだ半分以上余るくらいの金額です」

 終末へ導く者エンドブリンカー時代の料金で計算したようだ。


 非常に解りにくいが膨大な金が動いたことは伝わった。


 別の――伯爵席にいる――貴族が声を上げた。


「それだけのお金は不必要だと感じる。


 国境警備の予算を増やすより、国内の治水工事の予算を増やすべきだと私は提案いたします」


 【鏡】が別の書面を映し出した。


 レコン海の支流の水が増大し農作物に影響を及ぼす可能性もある、とその書面には記されていた。


「上流の雨量が多く、このままでは川が氾濫する可能性もあります」


「トレブス伯。自身の領地内で解決できないのかね?」


「解決できたとしたら総国議会にこの提案を持ち込むはずがない」

「治水――つまり社会基盤インフラ費と防衛費は区別して考えるべきだ」


 貴族たちが次々に発言し、議論を重ねていく。いや、これは口論と言った方が正しいかもしれない。


「はじまりましたね」


 とレティシアが呟いた。


 剣を言葉にして振るう。貴族たちの意見の交換は剣を交え火花を散らしていることと同義だ。


 ガロウフィールドは何も口を出さず貴族たちのやり取りを眺めている。


 ――確かに戦っている感じだな。オレには一生縁がなさそうだけど。


 現在の状況は“社会基盤”を優先するか“軍事”を優先するかで意見が分かれているらしい。


「あいつ、負けそうだな」


 北川は治水について最初に発言した伯爵を指して言った。


「あの貴族は元よりそのつもりでしょう」


「え? なんでそんなことを……」


 北川の予想通り伯爵の意見は受け入れられず、


 社会基盤費と防衛費は区別して考える方向に議会の総意は固まった。


「議会の空気作りでしょう。流れと言いかえてもいいです」


「……流れ、か」


 戦いには流れがある。その流れはレコン海のように穏やかなものではなく、暴れ狂う荒海のような激流だ。


 流れに乗ったものが勝利に近づくのだ。


「さっきのは、布石か」


「それに近いもの、でしょうね」


 一つの議題が終わった。


 次に議長に指名された貴族が立ち上がる。


 その貴族は監察士と呼ばれている役職についている男だ。


 監察士は貴族たちが関わっている政治団体を監察する役目を負った役割だ。


 汚職や不当な税を課す者などが容赦なく断罪されていった。貴族たちの自浄組織である。


「次に、王都ノルスで起きたアルジェルト公息女誘拐事件についてです」


 会場に驚きの波紋が広がった。


 この議会にいる貴族たちの中で耳の早いものは知っているようだが、他の大部分は初耳のようだ。


 議会場がざわついた。


 誘拐事件のことを口にした貴族は自らの言葉が引き起こした影響に満足したようにあたりを見渡した。


 驚きが完全に伝播したのを見計らって口を開いた。


 貴族は事件の詳細をこと細かく説明した。


 人の出入りを規制している王都で誘拐事件。それも大貴族の息女が誘拐されたのだ。


 犯人像、犯人の手口、犯人の目的。などなど興味がそそられる部分は多々ある。

「犯人は古くより南方のジャムラー大陸に存在する暗殺者ギルド吐息の盗人ブレスストーラーであると考えられます。


 組織の影響力拡大を狙っているのか、近年エローナ大陸でも彼らの仕業と考えられる事件が多発しています」


「……組織の影響力拡大?」

 貴族の報告に吐息の盗人のトップアサシンであったレティシアが首を傾げた。


「違うのか?」と北川が聞いた。


「違いますね。あの組織にはそういった概念がありません。中心が不在なのです。


 組織の中心人物は存在していませし、体系的に把握している者もいません。


 あるのは効率的に暗殺、誘拐、拷問などの各仕事を行うために整えられた仕組みだけです」


「その話は以前、私も聞いた。非常に興味深い。特定の人物、特定の集団に頼らず構築された組織は珍しい」


 視線は前を見据えたままのガロウフィールドが言った。


「要するにボスがいないってことか」


「はい。あえて実体がないように組織を構築したようです。


 誰かが欠けてもすぐに補填されるため、組織を瓦解させるのが非常に難しい。


 吐息の盗人が長きに渡って暗殺者ギルドの頂点に君臨している理由の一つです」


 なるほど、と頷き北川は意識を議場に戻した。


「さて、吐息の盗人は依頼がなければ動かない組織です。


 誰かがアルジェルト公のご息女の誘拐を依頼したことになります」


 彼の貴族はそこで一旦言葉を切り、侯爵席と公爵席に座る貴族たちの顔をゆっくりと見渡した。


「あくまで憶測になりますが」


 と、前置をしてから本題に切り込んだ。


「王都内部の人間が依頼者である可能性が高いです」


 王都に在住する貴族たちの顔に一瞬、険しいものが走った。


「根拠を聞かせてもらおうか」


 初めてガロウフィールドが口を開いた。獲物を狩る獅子のごとき鋭い双眸が監察士の貴族を見つめる。


「一つ、王都内部に暗殺者を引き入れることが比較的容易に行えること。


 一つ、ご息女の代わりに要求された書物は一般には知られていない希少な書物だったこと。


 一つ、暗殺者が王都地下通路を使用したこと。これは貴族の中でもごく一部の人間しか知らない情報です」


 監察士は臆した様子をおくびにも出さずに淡々と述べた。


「地下通路はベナリアが建国される前の遺跡であると考えられています。


 そのため、この通路の存在は古くより王家に使えている貴族の家に伝えられていると考えれます」


 会場にいる貴族たちの視線が議長席に最も近い公爵席に座っている数人に集中した。


 議会がいつの間にか犯人探しの断罪場になっている。


 この空気を察したガロウフィールドが御席から立ち上がろうとしたとき、力強いバリトンが響いた。


「あくまで憶測であろう。


 たかだか伯爵風情が古くから王家に使える公爵家にあらぬ嫌疑をかけるとはなんたる不敬。


 恥を知りたまえ」


 ロザンビュウムを領地に持つ大貴族アルディフォ公その人であった。


 先代のガロウフィールド王の時代に影の国王とまで呼ばれた大貴族の声は、


 場の空気を一転させた。


 立ち上がりかけたガロウフィールドは、「ふん、老人め。姑息な真似を」と不機嫌そうに椅子に戻った。













――前日 市場通り――



 ロザンビュウムの街を黒髪の少女がねり歩いている。


 腰まで伸びた髪を一つにまとめ大き目のリボンで留めている。


 川澄舞は2つの肩書きを持っている。


 アカデミーの生徒でありながら、ベナリアの竜騎士。


 竜騎士たちは交代で議会場上空の哨戒にあたっている。舞は現在休憩時間だ。


 遠くの空を眺めると祐一のドラゴン、ソリューズの紅の鱗が見てとれる。


 舞は時間を持て余していた。


 疲れているわけではないので何かをしたい。でも、何をしてよいかわからない。


 佐祐理はいない。竜は翼を休めている。


 同僚の竜騎士が「ヒマなら街に出てみればいいじゃないか」と言っていたので出てみた。


 正直言ってあまり面白いとは思わなかった。舞は人ごみが苦手だ。人が多すぎるところにいると人に酔う。


 様々な視線、様々な臭い、様々な言葉、様々な感情。それらが絡み合い交じり合った空気は息が詰まる。


 他の人々はどうやってこの空気の中で過ごしているのか、ずっと不思議だった。

 最近、おぼろげながらその理由ワケが見えてきた。


 おそらく、人ごみの中を平然と生きていける人間は意図的に鈍感になっているのだろう。


 色々な人の感情を感じ取るから疲れるのだ。そんなものは感じなければ疲れない。


 意識を遮断し、数多くの人の中にいながら自分とその他を明確に区分けすることができれば、


 人ごみの中でも普通に過ごせるのだろう。


 それが舞がぼんやりと考えていることだ。問題は自分自身がそれを実行できるかどうかということだ。


 自分には無理だ、と舞は思った。

 舞は今まで他人を敏感に察知する哨戒しょうかいという任についていた。


 いきなり逆のことをしろといわれても難しい。舞はそれほど器用ではない。


 むしろ不器用な部類に入る、と自認している。


 ふと、幼い頃の記憶が蘇る。

 孤児を引き取って育てていた教会の若い尼僧シスター。自分と同じ色の髪をした綺麗な人だった。


 小さい頃から他人に合わせるのが苦手だった舞は孤立していた。


 その人は舞に、


 「無理に他人に合わせなくていいのです。舞は自分のペースで進んでいけばいいのですよ」


 と、諭してくれた。幼い舞がその言葉にどれほど救われたかわからない。


 その人と過ごした時間はそれほど長いわけではない。1年とちょっとだ。


 舞はアカデミーの教官にスカウトされトレイリアに渡ることになる。


 己の剣はそのシスターの見よう見まねである。


 アカデミーを卒業したら、あの人に会いにいこうと決めている。


 考え事をしていた舞は前方から歩いてくる人影に気づかなかった。


 気づいたときにはもう少しでぶつかる距離だ。


 舞は人影を左に避けようと身体を傾けた。相手も同じ方向に足を出すのが見えた。


 このままではぶつかると瞬時に判断し、逆の方向に進み出る。

 完全にかわした――はずだった。


 ごつん、と額に堅いものがぶつかった。反動で後に倒れる。


 予想外の出来事だったので呆然と舞は尻餅をついた。


 ――躱したはず……?


「いたたた」


 おでこをさすりながら相手の人が立ち上がった。女性のようだ。


「申し訳ありません」


 倒れたままの舞に気づいた女の人は屈みこんだ。


 額をなでていた手が、舞に差し出される。


「大丈夫ですか?」


 舞は差し出された手を取らずに自らの力で立ち上がった。


 舞は埃を払った。ようやくぶつかった人物を真正面に見た。


「……あ」


 自分と同じ深く濃い黒髪。同色の瞳には驚いた自分の顔が映っている。


「……シスター漣」


 驚きの波紋が漣と呼ばれた女性に広がっていく。漣の瞳は舞をじぃと見つめている。


 ふっ、と漣の口元が綻んだ。


「舞……川澄舞ですね」


 漣はふわりと舞を抱きしめ、髪を撫でた。


「しばらく見ないうちにこんなに大きくなったんですね」


 舞はむずかゆいような気持ちになった。懐かしい漣の匂いが鼻腔をくすぐった。


 ――嫌いじゃない。


 ぎゅーと抱きしめられた舞は変わらない懐かしい顔に嬉しくなった。


 舞を解放した漣は、舞の身体の“ある部分”を複雑な表情で見つめている。


 思わず“ある部分”――胸を腕で隠す。顔は少し恥ずかしそうである。


「成長……しましたね」


 漣の言葉には妙なニュアンスが含まれているように感じた。


 漣は自身の胸部に視線を落としため息をついた。


「シスター」


「今の私は見て解るように、もうシスターではありません」


 漣は僧衣を着ていない。ロザンビュウムの街に溶け込むようなシックなブラウスとスカートを身に纏っていた。


「そうですねぇ……先生とでも呼んでください。」


 孤児たちは「シスター」のほかに「先生」とも呼んでいたのだ。


「舞は順調にアカデミーを進学しているようですね」


 現在の舞の出立ちはアカデミーの制服だ。舞はこくりと頷いた。












「先生は今何を?」


 彼女の碧眼は美しく、真っ直ぐで、力強い。


 ――やれやれ。これは困りましたね。


 漣は舞の瞳が簡単に嘘を見抜くことを知っていた。


 舞の瞳は純粋で淀みがない。故に言葉の淀み――すなわち嘘に対して敏感だ。


 変わっていない。この相手を見つめる静かな眼差しは教会の孤児院にいた頃と同じだ。


「正義の実行者をしています」


「正義の実行者?」


「はい。正義の味方ではありません。正義は人によって解釈が違うもの。


 人の正義に乗っかって味方を気取るつもりは私にはありません。


 自分が信じる正義の実行者――それが今の私の仕事です」


 漣はしまったと思った。嘘をついてしまった。


 派遣特務執行局の局長であるグリーン枢機卿が掲げる目的は漣が信じる正義だ。


 だがしかし、今現在自分が行っている仕事に漣が信じる正義はない。


 大域的には正義があっても局所的には正義はない。


 この局所的な仕事を放棄すれば自分の正義を放棄したことになる。まったくもって難しい。


 舞は黙って漣の瞳を覗き込んでいる。漣の言葉の真偽を図り、心の奥底を見極めるように。


「ごめんなさい。舞、私は急いでいますので」


 ――これ以上、一緒にはいられない。


 漣は小さく頭を下げて立ち去ろうとした。


「あの」


 と、小さな舞の声。漣は立ち止まる。


「また会えますよね」


「ええ」


 漣は頷いた。舞にかすかな微笑が浮かんだ。ほとんど笑うことがなかった幼い舞。


 心の方もしっかり成長したようで先生としての漣は気分がよくなった。


 だが、派遣特務執行官としての漣はその微笑を自分が裏切っているようで気分が悪い。


 漣は足早に立ち去った。


 川澄舞に胸に付けられていた紋章――あれはベナリアの竜騎士にのみ付けることを許されたものだ。


 風の噂が新たな竜騎士が誕生したことを伝えていた。


 ――まさか、舞。貴女が竜騎士になっていたなんて。


 ベナリア国王を暗殺しようとしている漣にとってベナリアの竜騎士は間違いなく敵だ。


 元々、気が進まなかった仕事がさらに重苦しいものになった。


 もしかしたら教え子と剣を交える状況になってしまうかもしれない。


 以前抱いた嫌な予感が再び生まれ、心の中でざわめいた。











――前日 アルディフォ公別邸――



「はぁ……」


 アルディフォ公の屋敷の一室に戻ったあゆはため息をついた。


「うぐぅ。ずっと見張られている感じがする」


「仕方があるまい」


 ベッドにちょこんと座っているクローシスが言った。


「どうしてこんなことになっちゃんたんだろう……」


「秋子殿に何か考えがあるのだろう」


 あゆとクローシスがアルディフォ公爵のところにいるのには理由がある。


 二人(一人と一匹)に秋子を加えた三名は、旅の曲芸師を名乗りアルディフォ公に接触した。


 芸術家や怪しげな学者をお抱えにしていることで知られているアルディフォ公は、


 珍事や希少物が好きな収集家であった。


 秋子曰くこの別邸は、


「怪しげな人物が出入りしても不思議ではない場所はここですね。


 例えば人を簡単に殺す技術を身につけた人などがごろごろいそうです」


 当の秋子はこの部屋にはいない。


「ちょっと出かけてきますね」


 と、言い残し出かけてしまった。


「うぐぅ……早く戻ってきて欲しいなぁ」


 あゆは不安げに呟いた。










――前日 アムール通り――



 ロザンビュウムの往来を一人の男が歩いていた。


 その男にはコレといった特徴がない。否――意図的に特徴を消しているのだ。


 その男を見かけても、次の瞬間には忘れてしまう。


 誰の記憶にも残らない平々凡々な容貌をした男は平凡とはいいがたい仕事をしている。


 身のこなしは無造作のようで精密なアーティファクトのような足運びだ。


 暗殺者。人を殺すことを生業とする男だった。


「こんにちは」


 声は背後から。


 ――馬鹿な。何の気配も感じられなかったぞ。


 男の驚愕。背後をとられることは死に値する。


 首付け根あたりに、とん、と指が当てられた。

威圧ドミネイト


 青の支配魔法。男の動きが止まった。眼から意思の光が消える。


 背後の人物――水瀬秋子の口から滔々と命令が流れる。


「実行日は明日」


「了解しました」


「時刻は月が真天に昇った刻」


「了解しました」


「あなたに仲間はいますか?」


「はい」


「人数は?」


「私を含め4名」


「他に仲間は?」


「いません」


「わかりました」


 秋子は「この人で全部のようですね」と小さく言った。


「あなたは私に声をかけられてから全てのことを忘れます」


「はい」


 とん。秋子のたおやかな指が男の脊髄を小さく叩いた。


 男は、はっと我に返った。


 刹那の間だけ自分を失っていたがすぐに取り戻す。


 ――何があった?


 暗殺者の男は必死に自分の記憶を遡った。だが何も思い出せない。


 そのうち、何かがあったことが嘘に思えてきた。


 ――そういえばロザンビュウム入りしてから睡眠時間が零に近いな。


 男は違和感の原因を疲れのせいにした。


 男は訓練と外法の魔法によって疲労や眠気を感じない体になっていたが、


 都合の悪いことはたとえ自分のことですら無視した。


 必死に辻褄あわせを行っている。


 “何故”辻褄あわせをしなければならないのか、その疑問に男がたどり着くことはない。


 ――決行は明日だ。


 休んでおこう、と男は思った。


 下調べは十分、計画は十二分に練った。


 あとは決行するだけだ。この国を揺るがす大事件を。


 自分が誰かの手の平の上で踊るピエロだとは知らず、男は歩き去っていった。


 その後姿を微笑みながら見守る者がいることに男は最後まで気がつかなかった。





続く







 国名の後に国の形態がつきます。ベナリアは王国なので王が統治する国家になっています。

 ならワイナ皇国は皇帝が統治する国家だと思っていました。

 それは間違いでした。皇帝が統治する国家は通常帝国と呼ばれるそうです。

 皇国というのは天皇が統治する国家で、歴史上皇国を名乗ることができるのは日本だけのようです。

 見事な勘違いでした。

 ですが、直すのは結構大変なので、このまま皇帝が統治する国家ですがワイナ皇国でいきます。


2007-4/1 初版

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