あるところにサソリがいました。
サソリは、慌てた様子で、足をシャカシャカ、動かしています。
と、そこにクモがいました。
「おい、お前!」
サソリは横柄な口調で、クモを呼びました。
それは毒を持つグモでしたが、サソリの毒には敵いません。
「はい。なんでしょう?」
「俺は、お前より強い毒をもっているよな」
「はい。もちろんです」
クモは頷いて、続けました。
「あなた様の毒はθ-サソリ毒、ティティノストキシンと呼ばれる毒を持っています」
このクモは意外に、博識でした。きちんとした知識を身につけ、それを生かすことで、上手に生きているのです。
「そのティティ……なんとかってヤツは強力なのか?」
「はい。もちろんです。あなた様の毒にかかればどんな生物でも、身体が痺れ死に至るでしょう。ただ遅効性なのが玉にキズです」
「ど、どんな生物も!?」
サソリはどうしてか、とても驚いた顔をしました。
「はい。もちろんです。ところで、どうしてそんなことを聞くんですか?」
「いや、そのだな、さっき、背中がかゆかったんだ。ハサミや足じゃ届かないから、尻尾でかいかいしていたんだ。そしたら、チクッて……おい、何だか身体が痺れて――」
「…………」
<了>