伝説の遺書






 
 代々、商業を営んできたこの家には伝説の遺書が存在している。
 現在の社長の曽祖父に当たる人物が書き残したものだ。
 臨終の床で偉大なる曽祖父は、こう言ったそうだ。
「我が子孫にこの遺言状を残す。将来、どうにもならない問題が発生したときに開けよ」
 社長の父はこう言っていた。
「本当ににっちもさっちもいかなくなった時に開けるんだ。それ以外は絶対に開けてはならない」
 
 新しい時代の波に呑まれ、先祖代々受け継いできた会社が潰れようとしていた。新しいビジネスが次々と台頭し、古い体質の企業は消えていく時代だった。
 社長はすがるような気持ちで伝説の遺書を開いた。








「ナルヨウニナル」

 そう、一言だけ書かれていた。


<了>




2005/6/5 初版

・あとがき

 元ネタは一休和尚の遺言です。
 「ナルヨウニナル」と書いてあったそうです。ある意味真理を突いた言葉ですよね。



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