代々、商業を営んできたこの家には伝説の遺書が存在している。
現在の社長の曽祖父に当たる人物が書き残したものだ。
臨終の床で偉大なる曽祖父は、こう言ったそうだ。
「我が子孫にこの遺言状を残す。将来、どうにもならない問題が発生したときに開けよ」
社長の父はこう言っていた。
「本当ににっちもさっちもいかなくなった時に開けるんだ。それ以外は絶対に開けてはならない」
新しい時代の波に呑まれ、先祖代々受け継いできた会社が潰れようとしていた。新しいビジネスが次々と台頭し、古い体質の企業は消えていく時代だった。
社長はすがるような気持ちで伝説の遺書を開いた。
「ナルヨウニナル」
そう、一言だけ書かれていた。
<了>